仕事を通して数々の女優と会ったが、やはり大女優と言われる人々にはオーラが出ている。それと大女優であればある程まわりに対する気使いが細やかで物腰も柔らかい。中途半端に売れている若い女優には「あんた何を勘違いしてるの」と思わせる者が多い。こういう印象を持った女優が、その後長く活躍するという例は少ない。

息を飲む美しさとはこのひとのことを言うのだろう。
吉永小百合さん。映画「動乱」の音楽をKittyが担当した縁でお会いすることがあった。それまで若い頃のイモくさい印象しか持っていなかった僕は一目見て固まってしまった。30分程談笑したのだが何も覚えていない。恐れ多い、、、そんな感じでそばに座っているのがやっとだった。

岩下志摩さんにはカセットブックの製作でお世話になった。白いシャツにジーンズ、ノーメイクでスタジオに現れた志摩さん、その存在感に圧倒された。
「卯の花くたし」という文芸作品を作ったのだがNG無しの一発取り。大女優の貫禄を見せつけられた。

同じくカセットブックでお世話になった竹下景子さん。やはりノーメイクでジーンズ姿だったが、こちらはごく普通の人という印象。何も言わずそばに座っていても気付かぬ人が多いだろう。
難しい「奥の細道」を一生懸命朗読してくれた。「もう一度やりましょうか?」「これでいいですか?」一節終わる度、気づかってくれた。こんな人なら何度でも仕事をしたい、と思わせる素敵な人だった。

二度と仕事をしたくない、と思った人も数いる。
Kittyで言うなら石◯真◯子。映画「翔んだカップル」の製作にあたって自由が丘でスカウトした新人だったが、はじめから厄介物だった。マネージャーがノイローゼになった程だ。頭に来た話は山とある。仕事、プライベート、、、。思い出したくもない。

ビデオと写真集を作った大◯久◯子。桂◯ 文。この二人については項を改めて御紹介する。

最後に育て損ねた女優のお話。

青山音楽事務所の時、八重洲の喫茶店にものすごくいい女がいると言うので製作担当のO君と一緒に出かけた。その女はレジにいた。確かにいい女だ。スタイルもいい。僕らは身分を明かし歌を歌ってみないかと持ちかけた。「うん」とうなずく。
数日後事務所でオーディションテープを作った。下手だった。それでもこんなにいい女だ、タレントへの道があると思い社長に引き合わせることにした。
心配は一つ、ほとんど喋らないと言うこと。
何を聞いても「うん」「ううん」としか言わない。
「恥ずかしんだろう、慣れれば変わるさ」O君と二人自分に言い聞かせて社長にあわせた。
社長の前でも同じだった。社長が「何がしたい?」ときいても「、、、、」
「興味はあるの?」「うん」「経験は?」「ううん」万事こんな調子。
そばにいるこっちが恥ずかしくなった。
社長の判断はノー。
「いくら可愛くてもあれじゃなー。どうにもならないよ。歌は下手だし、あれ馬◯だよ」
その一言で僕らは諦めた。

それから数年後。
彼女は映画デビューをした。しかも主役で。
『性獣学園』多◯川由◯と言う名前だった。

 

 

音楽旅日記